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onda記者会見、質疑応答パート2
新たな時代に対応すべく
06/12/08 04:14


Photo F1-Live.com

Zoom
思い出のハンガリーGP優勝

Q: 先ほどから新しい時代、とおっしゃっておられますが、この新しい時代というものがどういったものなのか、もう少し具体的に教えていただけますか?

福井: 私だけでなく、Honda内部として意見が合致しているところで言うと、経済危機で原油価格が下がったり、原材料が下がったりという変化はありますが、これは経済が回復してくれば当然再び高い状況になるわけで、やはりこの数年間はBRICs諸国(ブリックス/ブラジル・ロシア・インド・中国の経済発展が著しい国々を総称したもの)の経済発展が非常に目覚ましく、地球上の資源、自給バランスが大きく変化したという風にわれわれは認識しております。したがいまして、新しい時代というのはあくまでも原油が高い、原油が使えない、原材料もそれほど豊富に使えない、高い原材料を使わなければならない、これは従来とは全く違った価値観で車造り、技術が必要だと考えております。具体的に申しますと、来年Hondaが出すインサイトのような車、これはひとつの例ですが、インサイトに続く周辺のラインアップの強化、あるいは北米市場が主体のHondaにとっては中欧型モデル、ハイブリッドを中心とした新しい技術、あるいはHondaとしてはフィットが一番下のクラスになるわけですが、世界中で必要とされているフィットよりも下のクラス、小さくて燃費がよくて原材料をそれほど使用しない車、価値観が高い車を開発していくことが急を要することで、またヨーロッパの燃油規制に対応する車、さらにインドで必要とされるような小型のディーゼルエンジンの開発等々、そういった方向の技術にせよ商品にせよ、非常に緊急を要していると考えておりますので、これに対してはF1に携わっているエンジニアがとても大きな力を発揮すると思っております。

Q: F1事業は創業者である本田宗一郎氏の思いで始められたものだと思います。これまで2度の撤退を経て、自動車界でも大きな転換期を迎えているとのことですが、Hondaの歴史にとって今回の撤退というのはどういった意味合いがあると思われますか? また、F1は非常に大きなインパクトがあるとのことですが、これまでの維持費や開発費、それぞれどのくらいの規模なのか教えてください。

福井: 2つ目の質問はあまりお答えできないのですが、Hondaという企業の規模を考えていただいた上で、かなり大きなインパクトだと判断していただければと思います。今回の撤退の意味付けというのはやはり歴史上どのような意味を持つかというより、例えば5年後にどうなっているかで評価が下されることであると思っております。したがって、辞めるということではなく、辞めた力でどういう新しい力が生み出されるかで評価されるべきことだと考えております。非常に大きな決断だったわけですが、これがいい決断だったと言われるようにしなければならないと思っております。

Q: 参戦費用は一般的に数百億円と言われており、Hondaの経常利益は数千億円と言われておりますので、10分の1程度という見方ができるわけですが、その観点からすればそれ自体が直ちに経営に大きな影響を与えるわけではないとの見方もできるかと思います。今後のことを見通した時、経営状況がさらに厳しいものになるとお考えになって決断されたことなのか、あるいは先ほどから出ている技術開発におけるリソースの振り分け、転換ということを考えてのご判断なのか、もしくはこの厳しい状況の中で数百億円をモータースポーツに投じるという社会的見解に対する対応からのご判断なのか、ご回答いただければと思います。

福井: 3つともすべて考えなければならない項目だと思いますし、それらすべてを配慮した結果なのですが、収益インパクトという観点でも当然大きなものになっておりますし、特に11月の市場の販売状況、日本やアメリカも含めたマーケット全体の状況を見て、これが1年間続くと自動車業界全体がひどい状態になると思います。そういったこともある程度想定した上で、われわれは楽観論でビジネスをするわけにはいきませんので、この先、これが続く、さらに悪くなる可能性も考慮してのことです。

F1のレースにおける直近の変化で言えば、例えば数年前までは現地のF1レースはタバコ産業を含めて100億円もあれば運営できていたと思います。しかし、さまざまな変化があって100億円では済まなくなってきました。現地のオペレーションだけでも200億円ほどかかるのではないかと考えております。それに対して、現在はタバコ産業が撤退し、スポンサー収入がほとんどない状況で、各チーム、それぞれ非常に厳しい状況だと思います。それ以外の費用に関しては詳しくお話しできませんが、そういった直近の事情もしかり、それだけではなく、やはり時代が変わって1年や2年これをしのいだとしても、その先に新しい展望が開けないと新しい自動車産業界で勝ち残っていかれないと思いますので、むしろ私としてはこちらの方が理由としては大きいです。

社会から、株主から、という話も当然ありますけれど、一番大きいのはやはりリソース、開発リソースを有効に使うべきだとの考えです。


Q: 先ほどそれ以外の費用については申し上げられないとおっしゃった点について、ぜひお答えいただきたいのですが、SUPER AGURIというチームがありました。このチームに対してHondaはマシンの開発やエンジンの提供、ドライバーの報酬などいろいろな面で支援されていたと言われておりますが、それがどれほどの額だったのか教えていただけますか? また、この2年間、活躍したSUPER AGURIはその中でスポンサー獲得のため、ロータスという企業をHondaに買収してもらおうという計画があったとうかがっておりますが、この計画がどの程度まで信ぴょう性があったのか、どの程度までHondaが考えていらっしゃったのか聞かせてください。

福井: ロータスの件は大島の方から説明しますが、SUPER AGURIの件、具体的に申し上げるより一般論として、例えば、現在F1でエンジン供給、エンジンを販売しようというチームがありますが、そういった場合は年間20億円ほどが相場だと理解しております。それ以上は把握しておりません。

大島: ロータスという話が出ましたが、私自身はロータスの社長ですとか、その他の方々にお会いしておりません。基本的なこのお話はSUPER AGURIのチームとそれをスポンサードしたいという方がいらっしゃり、その仲立ちとしてHondaに動いてくれないかというお話を受けて、その代理の方とはお会いしました。ただ、その中でどういう構想をしているかなど私は存じません。SUPER AGURI、(鈴木)亜久里さんとのそちらのお話の中で、私としてサポートできることはやりましたが、それ以上にお話が進まなかったものと認識しております。

Q: ジェンソン・バトンとはすでにドライバー契約をかわしていたということですが、撤退を伝えた後のバトンをはじめ、関係者の方々の反応、誰からどのように伝えられたのかを教えてください。また、2008年シーズンの成績にかかわらず、撤退を考えていたのかどうか教えてください。

福井: 2つ目の質問について、今年の結果にかかわらず、まったくかかわらず、撤退を決断しました。

大島: ジェンソン・バトンへは、誰が伝えたのか未確認ではありますが、ニック(フライ)またはロス(ブラウン)のどちらかが伝えております。今日、今の段階では申し訳ないですが、ジェンソン・バトンの反応を聞いておりません。本田技研の意思決定後、ニック・フライとロス・ブラウンには私の方から伝えました。彼らの反応はもちろん非常に残念がっておりましたが、現在の経済状況、Hondaのおかれた状況というのを理解していただきまして、今後のチームに関することについてはきちんと本人たちがリーダーシップをとってやっていくということでお話ししました。

Q: 先ほどF1に携わってきたエンジニアの人数は延べ千数百人になるとおっしゃっていましたが、今回の撤退によって、リソースの配分で他の製品開発に振り向けられる人数というのがどれくらいになるのか教えてください。また、これはイメージの問題になりますが、最近の急速な状況の悪化によって、御社だけではなく自動車メーカーが期間工の方々を大量に解雇されていますが、そういうように人材を削っている中で、数百億円の投資を続けていっていいのかという考えや社会的イメージも考慮されたのでしょか。

福井: 現時点でF1のレースにかかわっているエンジニア、彼らは栃木研究所にいる本田の従業員ですけれども、350人から400人ほどおります。すべて直接開発を担っているエンジニアです。彼ら全員が先ほど言った方向の強化に振り向けられるということです。2つ目のご質問について、主な理由は先ほど申し上げた3項目があたりますので、それが主な理由とはなりませんが、当然、そのようなことも配慮しなければならない状況になっていると思います。

Q: すでに終わったレースに関してですが、毎年のように昨年の成績ではダメだ、今年は勝つとおっしゃってこられ、常に勝つことにこだわってこられたわけですが、振り返ってみて2000年からの第3期の活動、そしてフル参戦となったこの3年で、一番印象に残ったこと、一番うれしかったことは何ですか? 2006年にはハンガリーで勝ちました。"たられば"にはなりますが、もしこうだったら、というようなことがあれば教えてください。

福井: もちろん、勝った時は一番うれしかったわけですが、やはり印象に強いのはポールポジションもとりましたし、確か2005年か2004年のころだったかと思いますが、ポールポジションをとってレースで勝てない状況、十分勝てそうな雰囲気になった時にルール違反ということで出場停止になったことは非常に悔しかったです。それに関して、われわれとしては、ルール違反はなかったものと今でも信じておりますが、あの時に勢いをそがれたということが非常に残念です。

Q: 大島さんにうかがいます。チームについてはこれから検討するとのことですが、本田の社員ではなく現地採用、Honda Racing F1の社員として雇用されていらっしゃる方が何名ほどいらっしゃるのでしょうか。また、エンジン供給のみの参戦も考えていないとのことですが、エンジンなしでのチーム売却というのが本当に可能なのか、もしくは今後のチームの処理に関して何にプライオリティを置いていくのか聞かせてください。海外では、タダ同然でも引き取り手があれば売却するとも報じられていますが。

大島: HRF1(Honda Racing F1)には700名ほどの社員の方がいます。契約社員も含めてです。それからHRD(Honda Racing Development)には40名ほどの社員の方がいらっしゃいます。確かに現在開発しているマシンはホンダのエンジンベースとなっております。今、考えているのは、やはりエンジンがないとやるのは難しいというのがあるものの、Hondaとしては撤退しますので、新たに(エンジンは)造りません。そこで考えているのは今あるエンジン、これである程度の活動を行えないかということで検討をしているところです。売却額については交渉等いろいろありますけれども、今考えておりますのは、もし、それによってチームとしての存続が可能であれば金額が安かろうと構わないのではないかと、いう風に今は考えております。

Q: ということは向こう1年、2009年に関しては現状あるエンジンを、形としては供給する形で・・・。

大島: ですから、今、エンジンがどのくらいあるのか精査しておりますが、完全にフルシーズンを戦えるだけのエンジン数はありませんので、その中で、途中で変えるのか、これは分かりません。その売却されたチームが新たにどこかとやっていくのか、それは分かりませんが、新たなエンジンを造らず、その中でできることはやっていこうかとの考えです。

Q: 福井社長に質問です。残念ながら、2000年からの第3期の活動中、本当の意味でHondaがチャンピオンシップを争えた、トップレベルで戦えた年はなかったその最大の原因は何にあったとお考えですか?

福井: 最大と言っても答えにくいのですが、さまざまな理由があったと思います。中断をしていた段階で技術が遅れてしまった、F1という場で戦う技術がなかった、それに追いつく時間が必要だったということ、それから勝つため・・・、まあタイトルを争うチームというのは限られているわけですから、そう簡単に(タイトルを)争えるわけではなくて、おそらくわれわれ自身も理由がよく分からないと言いますか、当然、タイトルを争っていれば、こういう要素が足りないといったことが挙げられるわけですが、なんともそれがつかめていない段階での撤退ですので、理由はよく分かりません。こうすれば勝てるのではないかと思って毎年手を打ってはきましたし、来年に向けてもそういう手を打っているわけですけれど、それはまだ結果が出ておりませんので、何とも申し上げられません。非常に残念だったと思います。

Q: 今回の撤退によってサプライヤーはどのくらいの規模で影響を受けるのでしょうか?

福井: サプライヤーさんに関しては現在調査中ですが、当然F1がらみで部品の製作および加工をお願いしているメーカーさんがおりますので、今日の発表をもってオープンになりましたから、これからご相談することになると思います。

Q: チームの売却先についてですが、Hondaとしてこういう企業がいいというような希望はあるのでしょうか?

福井: 先ほど大島からご説明しましたが、売却先に関してはあくまでも現在、数百人いる現地のF1チームのエンジニアたち、彼らができるだけいい形で継続できるのであればそれが一番だと思っております。それ以外はありません。

Q: 決断されたのは最終的に昨日ということで、11月の販売状況が厳しくなってとのことでしたが、11月はちょうどバルセロナでテストをされており、ロス・ブラウンもいらっしゃっていましたし、その時点では1月の新車発表のタイミングなど、かなり最終段階まで決まっていたかと思いますが、本当にこの数週間の間に状況が変わったという認識でよろしいでしょうか? また、その間、例えばロスに対して相談なりされたことはあったのでしょうか?

福井: 今出たバルセロナのテストの感触はとてもポジティブだという報告をわれわれも受けておりましたし、来年に向けての手ごたえがあったわけですけれど、あの時点ではこういう話はなく、ロス・ブラウンにこの話を投げかけたのもわりと直近です。

Q: 2000年に復帰された目的のひとつにブランド価値の向上というのがあったかと存じますが、その後、環境意識というのが世界中に広がって、F1そのものが一部で環境にやさしくないという見方も出てきました。そのようなF1に対する見方の変化も今回の撤退の決断に何らかの影響があったのでしょうか? また、復帰当時、福井社長はモータースポーツの担当役員であられたと記憶しておりますが、それ以前の2輪の開発者の時代からモータースポーツにかかわってこられて、今回、F1撤退を決断せざるを得なかったご自身の境遇をどのようにとらえていらっしゃるのか、率直な感想があれば聞かせてください。

福井: F1が持っているイメージ、ブランドを、Hondaのコーポレートブランドを高めるというのが大きな目標でやってまいりました。これに関しては結果が十分出なかったということで目標を達成できずに撤退しますので非常に残念ですが、決してF1のブランドが環境と対比をしていて価値がなくなったから撤退するということはありません。今でもやりたいという気持ちはとても強いです。ただし、状況が許さなくなったということです。私自信の気持ちとしても、やはり何らかの形でモータースポーツのようなチャレンジがHondaにとっては必要であり、これがF1ではなく例えばMotoGPであったり、新しい技術へのチャレンジであったりと、違う形でのチャレンジでこれをつなげていくことは可能だと思っております。

Q: FIAではチーム予算の削減に向けて、スタンダードエンジンを含め、いろいろと取り組んでいるわけですが、こういったものが実際のところ話が進んでいない状況で、企業のビジネス判断としてはそういったことが遅すぎるとの判断があったのか、もっと言えばFIAによるコスト削減対策がもっと早くに行われていれば辞めなくて済んだとの思いがあるのかどうか、聞かせてください。技術開発に関してはKERSをはじめ、FIAとしては市販車開発においてKERS等の技術的な応用が可能であり、それによってメーカーをF1につなぎとめる術になるだろうと考えているわけですが、そういったFIA側の考えが現状に照らし合わせてまったく適切でないとの考えがあったのかどうか聞かせてください。

福井: いろいろとありますが、そのような対応がFIAを中心に、われわれも協力しながら試算をしているわけですが、それらを大幅に超えるような状況変化というふうにわれわれは理解しております。単一エンジンになって全体のコスト削減という方向もあるのかもしれませんが、例えば自動車メーカーにとってはあまり大きなインパクトはないですし、新しい技術開発というのは新しい領域でのチャレンジ、技術的観点での興味はありますが、それらの対応をはるかに超えるような変化が世界中で起きていると考えていただければと思います。

Jim
RACING-LIVE Japan


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