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鈴木亜久里代表の一問一答
「チャンスをもらえた人生・・・神様に感謝」
07/05/08 09:49


Photo F1-Live.com

Zoom
笑顔を絶やさなかった亜久里代表

6日(火)に都内で行われたSUPER AGURI F1 TEAM緊急記者会見に出席した鈴木亜久里チーム代表は、記者からの質問に応えた。

Q: 亜久里さん、お疲れさまでした。最終的なワイグル社との交渉についてですが、“基本合意に至った”というリリースも発表されていました。その後、合意に至らなかった経緯を教えてください。

鈴木亜久里代表: 大きなポイントとしては、条件面での煮詰めや時間的な問題などがありました。またマグマ・グループと2カ月にわたる交渉を行っていたため、ワイグル社を含めたほかのインベスターとの交渉を全部打ち切っていました。そのため、ワイグル社とは以前から話し合いをしていたものの、ブランクが生じたということです。その後交渉を再開したものの、残された時間は1週間足らず。基本合意はしたけれど、条件面や時間的なものが(トルコGPに)間に合わなかったということになります。

Q: ワイグル社との交渉については、ニック・フライ(Honda Racing F1 CEO)やHonda側から“認めない”ということになったんですか?

亜久里代表: 単なるHRF1(Honda Racing F1)CEOのコメントに対しては、僕が反応する必要はありません。フェラーリのCEOが僕に何か言ってくるのと同じことだと思っています。フライはHondaのボードメンバー(取締役員)ではないわけですからね。もちろん僕の最大のパートナーはHondaだと思っているので、Honda側からの指示には従っていくスタンスです。ですが、ニック・フライに関しては彼が何を言っているのかどうか興味もないし、ちょっとよくわからないという状況ですね。

Q: ではHonda本社の取締役会の承認を得る必要があったと言われていましたが、どうだったのでしょうか?

亜久里代表: その話がクローズアップされていますが、“Hondaが認めてくれたから、この話が進む”という問題ではありません。チームとしての資金集めや、レースに向けた時間的な問題などが大きかったのです。一部の記事の中では“Hondaの決定が必要”というように大きく取り上げられていたようですが、記事だけが独り歩きしていたように感じています。もちろん、当面の活動資金などがあるのであれば、ワイグル社との話し合いも現実的なものになったかもしれないですし、違うパートナーと話すこともできたかもしれません。しかし、1週間という時間はあまりにも短く、その期間で1つの会社のチーム買収や株式取得といった話を完結することは時間的制約から言って難しいことでした。そのため、最終的にこのような結果となりました。

Q: 亜久里さん自身が、F1撤退を決断した瞬間はいつでしたか?

亜久里代表: やはり大きなポイントは、マグマとの話が終わった時点ですね。もう時間的には無理だなと思いました。本当に信頼していたし、昼も夜も会社の事やこれから進めていくプランを考えていたから、最後の最後でこうなってしまうことは信じられませんでした。

Q: F1世界選手権への参戦権利を持っていたわけですが、今後はどうなりますか?

亜久里代表: 今はコンコルド協定が結ばれていない状態のため、FIAの管轄でレースが行われています。つまり、トルコGPを欠場しても“1年間で3レースまでの欠場であれば、その後レースに復帰することができる”というルールが適応されるのです。そうは言っても、もう(F1には)戻らないですけど(笑)。

Q: ほかにも出場権を欲しがっている人たちはいると思うのですが?

亜久里代表: 今まではチームをどう運営していくかということを考えていたので、参戦権については深く考えませんでした。しかし今のF1の状況では、新しい自動車メーカーが参入するならまだしも、プライベーターがうまくやっていくことは難しいでしょう。一(いち)からマシンやエンジンを作ることは困難だと思います。

Q: 佐藤琢磨を含め、スタッフやイギリスのファクトリーは今後どうなるのでしょうか?

亜久里代表: ドライバーに関しては今後Honda側とも話をして、話を詰めなければいけないと思っています。工場は閉める手続きなどに入らなければいけません。

Q: 先ほど話題に上がったワイグル社の件は、Hondaの取締役会に提案したのですか?

亜久里代表: “取締役会”と書いてあったのですが、あれはプレスリリースの間違いです。確かに僕はHondaの大島さん(本田技研工業株式会社 執行役員 広報・モータースポーツ担当 大島裕志氏)と話をさせてはもらいましたけれど、いろんな契約書があるので、それを詰めていくための時間がありませんでした。時間的に間に合う、間に合わないという部分の方が(交渉が成立しなかった理由としては)大きいですね。

Q: イスタンブールのサーキットでは、チームのトラックが締め出されてしまったようですね。亜久里さんはこの状況をどう理解していますか?

亜久里代表: そうですね、自分としてもよく分かりません。バーニー(エクレストン)とも話をしたんだけれども、よく分かりませんでした。バーニーいわく、「もしSUPER AGURIがトルコGPに出場できなかった場合、パドックではいろいろな問題が起きる可能性がある。しかし、トラックがサーキットに入ることに“NO”とは言っていない」とのことですけどね。ただ、Honda側がサーキットへのトラック進入をさせないように指示したということはあり得ません。まぁ、ニック・フライがなに言ったのかは分からないし、彼ならあり得るかも知れないですけど。とにかく、“本田技研”としてのディシジョン(決定)ではないということは間違いないです。なぜかというと、Hondaの大島さんが「(SUPER AGURIが)イスタンブールに行くことはOK」と言ってくれていたし、実際にトラックがパドックには入れなかった時に“これはHondaの指示ですか?”と聞いたところ、「違いますよ、私はそんなことを一切指示していませんし、そんな発言もしていません」と答えてくれました。つまり、Hondaのモータースポーツ部門責任者である大島さんが指示をしていないということは、Hondaのディシジョンではないと認識できるということです。

Q: この2年半の中で、亜久里さんが一番うれしかった瞬間はいつですか?

亜久里代表: そうですね・・・、結構おもしろくて。最初(2006年)にクルマがバーレーンに着いた時は“感動しましたか?”と聞かれたけれど、あまりにもウチのクルマが遅いんでびっくりしました(笑)。これがバーレーンGPの第一印象。でも、テストをしていないマシンで完走してくれたということはうれしかったですね。もちろん初めてポイントを獲った2007年スペインGPや2007年カナダGPもそうなんですが、感動したのはやっぱり琢磨をはじめとするドライバーやスタッフが僕に全信頼を向けてくれたこと。“ちっちゃいチームだけど一緒にがんばっていこう”という気持ちを感じられた時はうれしかったです。

Q: 負債などの状況はどうなっていますか? また、国内のチームなどに対する影響はありますか?

亜久里代表: “SUPER AGURI F1 Limited”という会社はイギリス法人で、国内にある会社とは資本も別であり、関係はありませんのでセパレート(別々に)して考えてください。今後イギリスの方のSUPER AGURI F1 Limitedをどう閉めていくかに関してはこれからです。

Q: ドライバーにはもう連絡が言っていると思いますが、どのような反応でしたか?

亜久里代表: もちろんすごく残念がっていました。琢磨やアンソニーをはじめ、チームスタッフたちは“自分たちがどんなに一生懸命やってきたか”ということをすごくよく理解してくれています。“残念だけど、ありがとうございました”という感じですね。これから琢磨も日本に帰ってくると思うので、話をしていきたいです。

Q: SSユナイテッドに対する訴訟などは?

亜久里代表: 今、弁護士さんと相談しているところです。近々お話できると思います。

Q: これまで数えきれないぐらいの企業とお話をされたということですが、どのような国籍の企業があったのでしょうか?

亜久里代表: すごくたくさん話をしましたね。中国、ロシア、ドイツ、スペイン・・・。数多くいろいろなところと話しました。

Q: 今回の亜久里さんの決断に、福井さん(本田技研工業株式会社 福井威夫社長)はどういった反応でしたか?

亜久里代表: 福井さんとはオーストラリアGPの時にお話をして、その時点ではマグマとの話がうまく進んでいたので“うまくがんばってくれ”と言われました。スペインGP後の経緯についてはお話していません。

Q: 3戦は欠場できるというお話ですが、トルコGP、モナコGPといった数戦を欠席している間にスポンサーを見つけて、再び参戦するという考えはなかったのでしょうか?

亜久里代表: ないです。

Q: その理由は?

亜久里代表: もちろん、資金的に続いていければ可能だったかもしれないですが、F1は1レースに出るのに何億円というお金がかかる世界ですから。パートナーを探す上で問題となったのはカスタマーカーの問題もあります。2006年に2008年のエントリーが締め切られましたが、22チームがエントリーをしていました。その理由は、カスタマーカーが使用できるというルールになると決まっていたのと、FOMが賞金の分配などを見直すと決めたから。しかし昨年、急にカスタマーカーの問題が難しくなり、いまだにコンコルド協定が結ばれていないということもあって、パートナーを探すのが難しくなったのです。

Q: マグマと独占交渉権のもとで長時間の交渉を行ってきましたが、マグマに対して訴訟等の手段に訴えていく可能性はありますか?

亜久里代表: その辺をどういう風にしていくかどうかはこれから考えます。うーん、その中でもいろいろな契約書の中で、現実問題としてできるかどうかは分からないですけど。まぁ、マグマを紹介してくれたニック・フライに感謝しますよ(笑)。ただ1つ。マグマに関しては言えないこともあるんですが、彼らは非常にまじめな人たちです。彼らに対してはいろいろな報道がありますが、マーティン・リーチはしっかりとステップを踏む人であって、いい加減な話をする会社ではないと思います。ただ、マグマの先にある会社のことは分かりません。一部の報道ではマグマは“2カ月も交渉をしておいていきなり打ち切る会社”と言われているけど、僕はそういう考えではありません。マグマの先にある会社(うわさになっていたドバイの会社だと思われる)について僕は分からないですから。

Q: SUPER AGURIは日本製のチームということでしたが、日本の企業が立ち上がらなかったことについてはいかがですか?

亜久里代表: 今の日本企業がF1に対して興味を持っていないという部分と、今のF1のコストが高騰化していることが原因かもしれない。僕がF1に乗っていた時代のように30億円から50億円でレースができていたのであれば話は別ですが、今はメーカーの戦いですからね。人件費やさまざまなコストについてもそうですが、プライベーターが生き残っていくのは難しいのではないでしょうか。それにバジェットキャップ(活動費に一定の制限を設けること)のこともあります。ただ、パジェットキャップも約150億円と言われているほどですし、メーカーがいくら使っているのかは分かりませんが、かなり難しいのではないでしょうか。

Q: F1にはもう参戦されないということですが、条件が整った場合でもそうなのでしょうか?

亜久里代表: なかなかねぇ(笑)。F1はピラニアクラブだから、そこに手を突っ込むのは嫌かな(笑)。ただ、レースがしたいですよね。レースができる環境であれば戻ってもいいですが、この2年半を振り返るとお金探しばかりやっていましたので。レースができる環境で戻れるのであれば、戻りたいですかね。でも、今はちょっと休みたいかな。でも、それだけ魅力がある世界。トロ・ロッソの共同オーナーであるゲルハルト・ベルガーとは現役時代はあまり話をしませんでしたが、同じようにチームを持つようになって話すようになりました。彼も「疲れた」と言っていますよ(笑)。

ほかに質問はない? F1チーム代表としての鈴木亜久里は今日が最後だから、何でも答えますよ。答えられない話もあるけど(笑)。


Q: 目標としては、フェラーリと争えるチームを作りたいとおっしゃっていましたが、振り返ってみていかがですか?

亜久里代表: そうですね、誰かが僕にポンと1,000億円ぐらいくれて「やってもいいよ」って言ってくれたら、また3年ぐらいF1をやるかな(笑)。

Q: 具体的には、それを頭に入れてスポンサー探しをされたんですよね?

亜久里代表: そうですね・・・。現実は甘くなかったということです。

Q: F1をやって良かったですか? やらなきゃ良かったですか?

亜久里代表: そりゃやって良かったですよ。僕は30歳までにF1レーサーになると決め、35歳でF1を引退し、45歳でチームオーナーになると決めたけど、本当に苦しい部分はありました。でも、苦しいなんて言うのは関係なかったですね。自分が絶対にやるんだと決めたことをやれる人生を送れて、神様に感謝しています。高い山は登れば登るだけ酸素も薄くなるし、天候も荒れるわけで苦しいものですからね。まぁ、やらなければよかったと考えたことも1回ぐらいはあったかな(笑)。でも、こんなに神様からチャンスをもらえた人生はないと思うし、感謝しています。・・・でも苦しかったですね。

それからもう1つ。これから“F1チームを持ちたい”って誰かに相談されたら、“やらない方がいいよ”ってコメントするかな(笑)。


Kay Tanaka
RACING-LIVE Japan


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